タイヤの脱輪の原因と対策②
タイヤの脱輪の原因と対策その①では、大型トラックのタイヤの脱輪原因と、メンテナンス不足によるハブの焼付きによる脱輪事例を取り上げました。
トラックのハブの構造と、ベアリングの位置を解説、外観から焼付き、炎上、脱輪しそうなタイヤの見極め方を確認しました。では前回の続きで、タイヤ、ホイール、ハブを外してみるとどうなっているか、確認します。
開けてみたら、やはり中は真っ赤赤でした。
このような状態です。長期点検していない状態で、メンテナンスをおろそかにした結果、水の進入を防ぐシール材が経年劣化してしまい、そこから雨水などが内部を侵食。サビが発生してグリスが赤茶色に変色し、更に液状化してシールの隙間から流出していました。もう少し放置すると、ベアリング周辺のグリスが枯渇して、潤滑性を失ったベアリングは焼付きを起こしてリングごと崩壊します。走行中ベアリングを失ったハブは脱落し、タイヤが猛スピードで後方に転がっていきます。一方タイヤを失った車両は最悪出火したまま横転です。
これは別の車両ですが、実際に脱輪をおこしてしまった車両のベアリング。ベアリングそのものが腐食劣化して、崩壊してしまいました。
こうなると、タイヤはあっさりと脱輪します。
タイヤを炎上、脱輪させないために日常及び定期点検をしっかり行いましょう。
まず対策の①は、日常点検でタイヤをしっかり確認すること。タイヤからグリスがにじみ出ていないか。しっかり確認が必要
対策の②は、定期的にタイヤを外してしっかりと中を点検しましょう。一般的にベアリンググリスは、耐熱耐荷重のリチウムコンプレックスを採用しています。これだと10万㎞くらいは持ちます。そして、タイヤやハブを外してベアリングをきれいに洗浄し、よく状態を確認します。
- ベアリングのローラー部が傷がついていたり、崩壊している
- ベアリングのローラー表面が真っ黒に変色して焼きが蔓延している
- ベアリングが車軸についた状態でガタガタと異音を発生している
このような状態なら、ベアリングもグリス交換に合わせて交換します。一般的には、平坦な舗装路がメインで、速度70㎞前後、過積載なしの条件であれば大体30万㎞まではベアリング洗浄とグリス交換で大丈夫なはずです。(諸条件により交換インターバルは異なります)
脱輪事故は、脱落したタイヤの2次被害(最悪の場合死亡事故)そして、脱輪したトラックの横転による大規模な交通事故など、大きな被害を誘発する可能性が非常に高い重要注意事案です。常日頃から安全のかなめとして、日常点検、定期点検を徹底して未然に脱輪事故を防ぎましょう。