タイヤの脱輪の原因と対策①

 タイにおいて、大型トラックのメンテナンスコスト削減のお手伝いをしておりますが、単純に点検回数や部品交換を減らせば目的を達成できるかというとそうではなく、当然安全性を担保する必要があります。特に大型トラックは図体も大きく、万が一横転などとなった場合は公道にも、近隣を走行する車両にも重大な被害を発生させる可能性があります。

 タイで約20年この仕事をする中で、意外に多いのがトラックやトレーラーシャシーの脱輪事故です。トラックのタイヤが脱輪する原因は大きく3つあります。

  1. 取付時にナットの締め忘れや、片締めなど取り付け不具合のため
  2. 過積載などによりホイールやブレーキに過剰な負担がかかったため
  3. 定期メンテナンスでしっかりチェックできておらず、内部が腐食劣化するため

 特に3.の原因については非常に複雑です。定期メンテナンスでブレーキシューやベアリング、ホイルグリースの交換、シール点検などをしっかりしていないと、まずシールが劣化を起こし、そこから雨水が侵入したり、逆にベアリングを円滑に回転させるために必要なグリスが漏れ出したり枯渇したりします。

まずハブ近辺の構造を確認しましょう

大型トラックの左側ダブルタイヤの構造です。赤と黄色の楕円の中にそれぞれアウターベアリングとインナーベアリングが入っています。実際のタイヤの映像(右)では、同じく赤、黄色サークルのあたりにベアリングが入っています。

取り付け前のベアリングです。こんなのが赤と黄色の円のところにについているのです。

ハブ内部の腐食を外から見極めるには

まず、車両点検時にハブとホイールの中心部分に注目してください。

写真のように、中心部から泥やオイルのようなものがにじみ出ていたら要注意です。シール材が長年そのままにされ、劣化し水が入り込んだ影響で内部で腐食やグリスの液状化、流動化が発生した結果、外部にグリスがにじみ出て泥と混ざるとこのような状態になります。

 

では、赤字で丸く囲ってある車軸部分を除いて、タイヤ、ホイール、ハブを外して中の状態を見てみましょう

       ここを残して外します

外した状態は、タイヤの脱輪の原因と対策②に続きます。